桔槹の主な年間行事

①  月例吟行会

2020年1月以降は新型コロナウィルス感染対策のため、開催を控えている。

 

毎月第2金曜日開催、2019年のテーマは【 田畑 】

毎月第2金曜日、年間のテーマに沿って、須賀川市内や近隣を吟行する


②牡丹俳句大会

令和4年度牡丹俳句大会盛会に

~長谷川櫂先生の講演に魅了~

 恒例の牡丹俳句大会が、今回は「桔槹創刊百周年記念」を冠し、5月8日午前9時30分から須賀川市民交流センター「tette」において開催された。会場には、事前申込みの百名余りの桔槹会員等が詰めかけた。コロナ禍にあったため、徹底した感染防止対策を講じての開催となった。

 大会は、猪狩行々子副会長の開会の言葉に続き、江藤文子同人会長が、都合により欠席した森川光郎代表の代わりも兼ねて挨拶した。その中で、本大会講師である長谷川櫂先生が憧れの俳人であったこと、平成2年の牡丹俳句大会に先生が本市を訪れた際、緊張しながら市内を案内したエピソード等を紹介すると、会場は忽ち和やかな雰囲気に包まれた。

 続いて永瀬十悟副会長が、先生の代表句を挙げるなどし、講師紹介した。

 先生は、「芭蕉の白河越え」をテーマにおおよそ九十分にわたり講演。開口一番桔槹同人の森川潔氏(故人)との交流を通じて、ご自身が二十歳頃から桔槹吟社と親しい関係であったことを話されると、聴講者との距離は一気に縮まった。本題に入ると、芭蕉と奥の細道はもとより、古典文学に対する深い造詣と識見、洞察力に裏打ちされた講話は極めて魅力的であり、アカデミックな雰囲気さえ感じさせた。限られた誌面なので、その概要を以下に紹介する。

 「長い戦乱の世を経て太平の世を迎えた江戸時代、日本人全体が考えたこと、それは内乱の時代に滅んだ文化の復興であり、芭蕉も例外ではなかった。いわば江戸時代はルネッサンス、古典復興を考えた人たちの時代であり、同様に芭蕉も古典主義者であったことが大前提である。奥の細道は単なる紀行文とか、旅の記録ではない。旅を素材にした文学作品、つまり創作である。奥の細道を音読すると概ね内容がわかって来る。何度も音読し、わからないところだけ解説書にあたればよい。奥の細道はフィクション、従って奥の細道を辿ることなどできない。文学にはテーマがある。奥の細道のテーマは、その冒頭の「月日は百代の過客にして」にある。時間は永遠の旅人であること。時間の中で人間はどのように生きていくべきかである。一喜一憂は人間界の業であり、不易流行やかるみは現代的なテーマでもある。方丈記の「川」は過ぎ去るものの象徴である。宇宙の高い所から人間界を見下ろす「かるみ」は恐ろしい人生観だが、最終的にそこに行き着く。微笑を湛えて人生に当たるのである。奥の細道は文学。その構成は四つに分かれるが、その二つ目が歌枕の旅である。「古池や」の延長にあるのが「みちのく」である。冠(襟)を正して白河(みちのく)に入る。凝った文章で書いてある。ヒントは「夢」。夢は外せない。詩歌(俳句)を作る人はぼーっとしていなければならない。柳の歌があって歌枕ができる。遊行柳の例がそれ。最初に西行の歌があった。歌枕は、歌が最初で現実は後から付いて来る。芭蕉の、西行と一緒に白河を越えて行くという夢は、等窮の「白河の関如何に越えつるにや」の問いに覚めるのである。遊行柳で夢見がちになり、須賀川で西行と芭蕉が離れる、夢から覚めるのである。須賀川の人は是非誇りにしてほしい。」 

 講演会の後に牡丹俳句大会の表彰と櫂先生特選句の丁寧な選評をいただいた。 


③須賀川俳句の集い


2020年は新型コロナウィルス感染拡大の影響で、講演会・吟行会は中止となったが、秋に高校生を対象に投句形式の大会を実施したところ。福島県内の9高校の400名から979句の応募があり、鈴木光影特別選者と森川光郎桔槹代表による審査の結果特選6句、入選34句が選ばれ、表彰された。

 

 2019年は6/1(土)須賀川市産業会館で開催された須賀川俳句の集いには、県内の高校生27人、一般約30人が参加した。講師の小山玄黙先生は、俳句同人誌『群青』編集長で、慶応大学医学部学生。2018年度俳句四季新人賞、星野立子賞新人賞を受賞している。午前中の講演では、季語の本意に沿った句作が大切と説かれ、先生が自宅から持参された「水中花」、「浮いて来い」、「釣忍」、「箱庭」などの季語の現物を目の当たりにしながらの楽しい講義。受講者は実際に手に取って触り、興味深そうに集中して聞き入っていた。午後は、国道を跨いだ牡丹園での吟行。高校生と桔槹会員が園内の其処此処で、会話・談笑する姿も見られた。

 以下は、特選句。

 

●事前投句の部特選

  かたつむり紫色の旅を征く

    須賀川桐陽高校1年 渡邉 開登

  亡き祖父の思いを咲かす桃の花

    郡山商業高校二年 田村 優

 

   ●当日吟行の部特選

  ぼうたんや昨夜の名残ひと雫

                須賀川桐陽高校二年 佐藤 由美

  木もれ陽をそつと仰いで夏が来て

            白河旭高校二年 國井 元稀

  水馬が鏡の空に投石す

      郡山商業高校二年 國分 ゆりか  


④軒の栗俳句大会

2020年、2021年は新型コロナウィルス感染対策のため中止となった。

 

第30回となる2019年は6/9(日)市民交流館tetteで開催。芭蕉の「世の人の見付ぬ花や軒の栗」は、可伸庵に咲いた栗を詠んだもの。可伸庵とは、芭蕉が須賀川来訪の際逗留した相楽等躬の屋敷の一隅に住んでいた僧・可伸の結んだ庵の名。当日の参加者は14名。可伸庵跡の栗の花ほか、当日市内で開催されていたロジマ(路地マーケット)という露天市の風景などが詠まれた。

 

以下は高得点句。

古本に光のおよぶ栗の花 江藤文子

追伸のごとく雨降る栗の花 古河ともこ

梅雨来ると猫のふり向く可伸庵 森川光郎

 

 

 


⑤きうり天王祭俳句会


2020年、2021年は新型コロナウィルス感染対策のため中止となった。

 

2019年は714()実施・・・きうり天王祭は、きうり2本を奉納して1本いただいて帰る須賀川市で開催される奇祭。このきうりを食べると1年間無病息災という。桔槹は2017年からこの祭礼の当日、きうり天王祭句会を開いている。

2019年は、あいにくの雨模様であったが、18人が参加。

以下は、森川光郎先生特選の3句

掌のきうり雨に濡れてる天王祭 佐藤秀治

こともなくきゅうり積まれて祭笛 藤田光徳

姿よき胡瓜賜る仮屋かな 相馬優美

 

互選による最高得点句

赤い傘祭りの裏をとほりけり 江藤文子

 

特選句には、光郎先生直筆の色紙、最高得点句には地元産きうり1箱が贈られた。

 


松明あかし俳句会

2020年、2021年は、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、大松明1本のみを立て無観客で実施、伝統の火祭りは受け継がれた。

伝統行事を詠む俳句会も前年同様実施した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019年は11月9()・・・400年以上の伝統を誇る火祭を詠む俳句会、句は一週間後の締切日までに郵送して、桔槹選者の選を受ける。

 

 


⑦牡丹焚火俳句大会

 2021年の牡丹焚火俳句大会は、新型コロナウィルス感染第5波が8月下旬から減少に転じ、密となる句会については実施を控えたが、講演会は入場者数を制限し無事開催することができた。

11月20日(土)当日は小春日和となり、講演会は予定通り午後2時に牡丹会館で始まった。受講者は制限人数通り50名で、講師は俳人協会理事の角谷昌子先生。角谷先生は、平成3年から震災前まで須賀川市教育委員会が主催し毎年実施していた「須賀川市俳句教室」講師などで須賀川と桔槹にはなじみの深い俳人・評論家で、今回の演題は「季語と取り合わせの効果—俳句鑑賞を楽しむ」。

講演は、明治から現代までの時代を代表する俳人の俳句を例に穴埋めクイズなどもまじえながら進行。『ホトトギス』全盛時代の作家から、虚子の花鳥諷詠・客観写生に反発する形で生まれた新興俳句の作家、人間探求派や根源俳句、境涯俳句や社会性俳句の作家など幅広く俳句史・俳壇史全体を眺望するもので、90分間飽きさせない興味深いものだった。

つづく4時30分からの牡丹焚火では、須賀川市長、江藤同人会長、ゲストの角谷講師によって火入れ式が行われた。来場者は約80名ほどで、桔槹関係者が約半数を占めた。

当日は風もほとんどなく、牡丹焚火は順調に進行した。観覧者は燃え上がる焔の朱色からしだいに燠となって紫に変わる色の変化と香り、しみじみとした美しさを堪能した。

  俳句大会の投句は当日のほか、葉書での応募も受け付け、締め切りは11月23日までとされた。その結果合計72名から144句(前年比約75%)の応募があった。審査は、角谷昌子ゲスト選者のほか、森川光郎桔槹代表、江藤文子、金子秀子、永瀬十悟の各氏を選者として実施された。


俳句教室の実施

小学生~成人・熟年を対象に、児童館・小学校・公民館などに出向いて俳句教室を実施しております。

 

俳句の楽しさを伝え、俳句の普及に尽力しております。