牡丹俳句大会 2019年5月12日(日)

 

日時:平成元年512日(日)10時~ 会場:須賀川市民交流センター(tette

 

 

 

今年の牡丹俳句大会は、この1月にオープンした須賀川市民交流センター(tette)を桔槹が初めて使う大会。5月1日に元号が令和に改まったこともあり、新時代の到来を予感させる新鮮な大会開幕となった。桔橰会員など約120人が参加した。

 

講師は、俳人協会理事で、「群青」共同代表の櫂未知子先生。櫂先生は10年前にも牡丹俳句大会の講師として須賀川にお出でいただいており、2度目の牡丹俳句大会だ。

 

当日は好天に恵まれ、須賀川市内ではロジマという露店市のイベントも開催され、街なかも会場も賑わいと活気があふれた。

 

大会は森川代表の講師歓迎のあいさつにはじまった。代表は暑さから体調を崩されていたが、旧知の櫂先生の講演を最後まで熱心に聴かれ、発想と表現の関係など、創作の根幹に関わる疑問を積極的に質問された。

 

今回の演題は、「三つの震災、もう一つを加えて」。震災忌という季語にもなった大正12年の①関東大震災、②平成7年の「阪神淡路大震災」、そして、当地も被災地となった③「東日本大震災」、加えてもうひとつは、昨年9月に櫂先生の故郷北海道を襲った④「北海道胆振東部地震」。これらの震災でどのような俳句が詠まれてきたか、時代によっての違いや俳句で災害を詠むことの難しさ。さらに歌人はどう詠んだか、川柳ではどう詠まれたかなど幅広い考察を聞くことができた。

 

もとより、当地は東日本大震災の被災地であり、桔橰同人の永瀬十悟氏の震災詠は全国的に知られており、この講演でも高く評価され、紹介された。

 

災害を俳句で詠むことについては、「俳句は外部世界とつながるためのもの」であり、「よき句(悲惨さだけでない)を詠めば、その災害(出来事)は(人々の記憶として)残る」、「俳句は、自己確認のために詠むもの」という櫂先生の考え方、向き合い方の一端をお聞かせいただいた。

 

櫂先生の講演の魅力は、随所に独特のユーモアがちりばめられ、聴衆を飽きさせないことだ。今回の講演でも、「歌会と句会の違い」」や「季語=今カレ説」など、本題に劣らぬ興味深い話であった。

午後からは、牡丹俳句大会の表彰と選評が行われ、入選句について、丁寧な講評をいただいた。(高市記)