桔槹2月号から

写真は「写真AC」のフリー素材を使用

年の暮梅干一つ壺の底  志田 公司

投句された句の中の一句抜くとなると右の句になるかも知れません。壷の底に残っている一つの赤い梅干しの映像を年の暮のぼおっとしたものが覆っています。とても印象深い句です。その他、惹かれているものに公司氏の言葉の選定です。毎回注視しているところです。句中の言葉に重量感があるからです。「悠久を海渡り継ぐ」「秋声と磐梯の双耳峰」「弾指する厠に」「心の臓上にして」など物と対峙しじっくりと考えられ作句していることが分かります。教えられます。

(選評:江藤 文子)