桔槹6月号から

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春寒しパンダ還る日なればなほ  相馬 優美

 今年(2023年)の2月に、上野動物園のシャンシャンなど4頭のパンダが中国へ返還された。多くの日本人が別れを惜しんだが、作者もそのひとり。立春を過ぎても寒さの続く「春寒し」と、句末に置かれた「なほ」につのる寂しさがこもる。シャンシャンは日本で生まれたパンダだけに、子の旅立ちを見送る親の気持ちのようである。(選評:永瀬 十悟)