桔槹5月号から

写真は「写真AC」のフリー素材を使用

近づいて来る白鳥とさびしがる 永瀬 十悟

 白鳥の渡りの時の鳴き声を聞く度に、白鳥は故国を離れ来て、哀しいのでは、寂しいのではと思う事があります。その白鳥を見ている作者もまた、寂しいという秘めた思いがあるのでしょう。近づいて来た白鳥と寂しさを共有しました。「さびしがる」の語で一緒に語ろうねくらいの感じでしょうか。白鳥の句ではあまり見ない表現でした。(選評:江藤 文子)