桔槹の次世代育成事業

高校生向けに『須賀川俳句の集い』を開催

2020年秋、投句による俳句大会実施・979句の応募。

 2020年は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、当初6月に予定していた講演会(鈴木光影講師)・吟行会は中止となったが、秋に高校生を対象に投句形式の大会を実施。福島県内の9高校から予想を上回る400名、979句の応募があった。

 審査は鈴木光影特別選者と森川光郎桔槹代表によって行われ、特選6句・入選34句が選ばれ、表彰された。

 

鈴木光影特別選者(左の写真)プロフィール

1986年 秋田県生まれ、千葉県育ち。早稲田大学教育学部卒

2014年 俳誌「沖」に入会し、俳句を始める

2016年 俳誌「花林花」入会

2017年 第4回俳人協会新鋭評論賞受賞(『「合掌部落」の時間・「吹田操車場」の時間 登四郎と六林男の交叉点』にて)

2020年 「沖」同人

出版社にて俳句書等の編集者。 俳句総合誌に作品発表。 文芸誌「コールサック」にて俳句時評を連載中

  

 鈴木光影特別選者の特選3句(下記)

 夏の日の放課後の匂いいつまでか須賀川高校3年 橋本和花奈)

雀の子ぶつかったのはゴジラかな安積黎明高校1年 小林和花)

雷の声収まりて模試続く(須賀川桐陽高校3年 土居陽香)

  

森川光郎桔槹代表の特選3句(下記)

 山眠るどんな未来も変えられる須賀川高校3年 加藤愛理)

蛞蝓の這う先見れば小さな緑(須賀川高校2年 大河内勇希)

母の手と釈迦堂川の鯉幟(安積黎明高校1年 伊藤綾香)

 

2018年は高校生38人が参加

  桔槹吟社は震災後毎年高校生向けに「須賀川俳句の集い」を開催している。県内の高校生にとって世代の近い若手俳人による講演と実作(事前投句と当日の牡丹園内吟行)の指導を受けられる貴重な場となっている。

 2018年は62日開催。講師はその直前の5月に田中裕明賞を受賞した小野あらた氏、26歳(当時)の新鋭だ。小野氏は俳句甲子園の常連校の開成高校出身で、俳句甲子園では二度優勝を果たしている。当日の高校生の参加者は38名。若い柔軟な頭脳には良い刺激になったことだろう。

2018年の桔槹俳句の集い
2018年の桔槹俳句の集い
2018年の講師の小野あらた氏
2018年の講師の小野あらた氏

 以下は、2018年の優秀句

 青嵐を受け流したる竹林 

     (須賀川桐陽高校一年 滝田翼)

  夏の空青いつぱいの鳥の声 

      (須賀川高校一年 諸根麻菜)

  めまといや句を詠む君は下を向き

     (昌平高校二年 遠藤すずみ)

  

        2018俳句の集い
        2018俳句の集い

2019年は高校生27人が参加

 日時・場所:6月1日(土)10時30分~16時 須賀川市産業会館・吟行は牡丹園

講師:小山玄黙氏

講師プロフィール:1997(平成9)年東京都生まれ、21歳。 「慶應義塾大学俳句研究会」所属。「群青」編集長。昨年、『雲と父』で第6回星野立子新人賞受賞。『膝に一花』で6回俳句四季新人賞受賞。

 

 2019年は6/1(土)須賀川市産業会館で開催された須賀川俳句の集いには、県内の高校生27人、一般約30人が参加した。講師の小山玄黙先生は、俳句同人誌『群青』編集長で、慶応大学医学部学生。2018年度俳句四季新人賞、星野立子賞新人賞を受賞している。午前中の講演では、季語の本意に沿った句作が大切と説かれ、先生が自宅から持参された「水中花」、「浮いて来い」、「釣忍」、「箱庭」などの季語の現物を目の当たりにしながらの楽しい講義。受講者は実際に手に取って触り、興味深そうに集中して聞き入っていた。午後は、国道を跨いだ牡丹園での吟行。高校生と桔槹会員が園内の其処此処で、会話・談笑する姿も見られた。

 

●事前投句の部特選

  かたつむり紫色の旅を征く須賀川桐陽高校1年 渡邉 開登)

  亡き祖父の思いを咲かす桃の花郡山商業高校二年 田村 優花)

 

  ●当日吟行の部特選

  ぼうたんや昨夜の名残ひと雫須賀川桐陽高校二年 佐藤 由美)

  木もれ陽をそつと仰いで夏が来て白河旭高校二年 國井 元稀)

  水馬が鏡の空に投石す郡山商業高校二年 國分 ゆりか )