同人・仲間の句集紹介(2021年以降)

森川光郎代表の第五句集 町空

 

 95歳を迎えた森川光郎桔槹代表の第五句集『町空』が1月末に発刊された。常に新しいものを求める姿勢は95歳の今も変わらない。そのあとがきにはこうある。「・・・・一句をかくごとにこだわる。己の書いたものに対する反省と点検は、大事であるけれど、これらは決まって忘却の中に埋没していく」と。つまり、忘却の中に埋没することを拒み、許さない、許したくないのだ。そういう姿勢が我々を惹きつけてやまない。桔槹5月号では「私が選んだ一句」という特集ページを8ページに渡って組み、森川光郎の広く深い世界に近づこうと試みている。

大河原真青の第一句集  無音の火

 

桔槹同人 大河原真青の第一句集無音の火がこのほど満を持して発刊された(現代俳句協会刊・税別2、000円)。

 

 

 帯文は桔槹の森川光郎代表、序文(序にかえて)は小熊座主宰の高野ムツオ現代俳句協会副会長だ。

 

珠玉の342句は以下の6章に分けて収録される。

 波の音 二〇一四年以前

 鰓の痕 二〇一

 日の雫 二〇一

 月の暈 二〇一

 架空の町 二〇一

 

 花の奈落 二〇一

   高野ムツオ氏「序にかえて」より抜粋

 

…その悲しみと慣りが十七音に結晶化している。た

とえば、避難を余儀なくされた町のさまを詠った次の

ような句。

   国道を鉄扉が鎖す花の雨

   真葛原けむりのやうに町は消え

   わが町は人住めぬ町椋鳥うねる

…中略… 「町」とは商店や住宅と呼ばれる建物の呼

名ではないという、自明のことを現場に立つことで改

めて実感できた。人間が住んでこそ初めて町なのだ。

人間がいなければ、いかに現代的、先進的な建造物で

あっても古代の廃墟と何ら異なることはない。これら

                           の句はそうした町でなくなった町への鎮魂の祈りとそ

                       れを強いた人間への怒りに満ち満ちている。

                    水草生ふ被曝史のまだ一頁

                          この句の重さを今反芻しながら噛みしめている。