桔槹11月号から

写真は「写真AC」のフリー素材を加工使用

ゆつくりとゆつたりと生き海月透く 鈴木 傾樹

俳句をやっていると言うと「高尚な趣味ですね」と言われる。俳句は外から見ると高尚なものに思われている様だが、中に入ってみるとそんな風には思わない。俳句ほど年齢に関係無く、男女の区別なく、職業に関係無く誰にでも出来る、誰にも門の開かれているものはないと思う。これほど何でも受け入れてくれるものは無いと思っている。生活を読む、自然を詠むも自由である。ただ門は広いのだが深さもあるという事だ。さて、傾樹さんの句を見ると、自然の中から日常の生活の中からと、どの句も大らかさを持って読む人の心に入ってくる。その中の右の句は海月と作者の生き方を重ねて詠んでいるのだと思う。人生や生き方を詠んだ句は良く見られるのだが、なかなか佳句には巡り合わない。上五中七に心情を詠み下五に季語を置くような作り方が多いからです。そうなると季語が動くという事になります。その季語で無くても良いのではという事です。しかしこの句は「ゆつたりと生き海月透く」と海月に例えて詠んでいます。主張することが下五まで反映しています。ゆったりと生きているのは海月そのものでもあるし、作者でもあるでしょう。感心した一句でした。(選評:江藤 文子)